国語科教師の経験世界を対象とながら、教師の専門性についての研究を進めている。以下の通り、研究テーマを年度ごとに進展させながら、科学研究費により国語科教師の専門性の多様性・重層性・複雑性を解明している。
・生徒の多様な言語や文化を尊重する国語科教師の信念体系と葛藤が授業改善に及ぼす影響(R6-8基盤C)
・生徒の多様性尊重の学習共同体を組織する国語科教師の学習指導観変容プロセスの解明(R3-5基盤C)
・地域・国際教育に深く関わる国語科教師が教科書依存の教科内容観を拡張する過程の解明(H29-31基盤C)
・学校環境の異なる国語科教師同士が相互主体的に教科内容観を編み直す学習過程の解明(H26-28基盤C)
・国語科教師が学びのコミュニティにおいて行政教員研修経験を編み直す学習過程の研究(H23-25基盤C)
・国語科教師の専門知の発展を促す授業批評会のあり方に関する研究(H21-22若手B)
・優れた授業実践技量の継承と発展を目指した国語科教師の授業研修プログラムの開発(H19-20若手B)
研究の進展に伴い、国語科教師の専門性は、子どもたちのことばの学びを育むことを基軸としながら、教師たちを取り巻く学校環境の違いに応じて、多様な要素が複雑に絡み合う実践知として概念化できている。
さらに、文学作品の読みに関わる研究も進めており、作品のことば相互の論理的関係性を分析するとともに、作品の語り手の語りを相対化することで立ち上がる作品世界の豊かさを探究している。